簿記の勉強を始めようとしている人
「簿記って結局何級を取れば良いの?」
「まずは3級から?」
「いきなり2級を目指しても大丈夫?」
このような疑問に対してまずはじめに結論を言います。
簿記2級の取得を目指しましょう!
本記事においてはその理由について説明しようと思います。
この記事を書いている私は、過去に簿記3級の学習から始めました。
現在は公認会計士の資格を持ちつつ、事業会社の財務経理部門で経理マネジャーを担当しております。
なお、本記事において「簿記」とは「日商簿記検定」のことを指します。
簿記検定には実は3種類ありますが、この点については別記事をご参照ください。
本記事の内容
日商簿記検定の各級まとめ
日商簿記検定は商工会議所が運営する検定試験で、公的な資格です。
検定試験の種類としては原価計算初級と簿記初級・3級・2級・1級とあります。
各級の概要は以下の通りです。
(二つの初級については本記事では省略します。)
簿記3級
試験時期
6・11・2月 (年3回)
試験科目
商業簿記
試験時間
120分
受験料 (税込)
2,850円+事務手数料※
※東京商工会議所の場合、550円
合格基準
得点70%以上
簿記2級
試験時期
6・11・2月 (年3回)
試験科目
商業簿記・工業簿記 (原価計算含む)
試験時間
120分
受験料 (税込)
4,720円+事務手数料※
※東京商工会議所の場合、550円
合格基準
得点70%以上
簿記1級
試験時期
6・11月 (年2回)
(注) 2020年度は11・2月実施予定
試験科目
①商業簿記・会計学
②工業簿記・原価計算
試験時間
①90分
②90分
受験料 (税込)
7,850円+事務手数料※
※東京商工会議所の場合、550円
合格基準
得点70%以上
各科目40%以上
各級のレベルについて、公式サイトにおいて以下のように記載されています。
簿記3級
業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき「必須の基本知識」として、多くの企業から評価される資格。
基本的な商業簿記を修得し、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理を行うために求められるレベル。引用元:商工会議所公式サイト
簿記2級
経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ。
高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。引用元:商工会議所公式サイト
簿記1級
極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル。
合格すると税理士試験の受験資格が得られる。公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門。引用元:商工会議所公式サイト
なぜ簿記2級なのか
簿記2級からが実践的に使えるレベル
簿記3級は全てのビジネスパーソンにとって「必須の基本知識」です。
あくまでもスタートラインなのです。
簿記2級は「企業から最も求められる資格」です。
簿記3級ではなくその先の簿記2級まで取得して初めて実戦的に役に立つレベルに到達できます。
ポイント
経理業務に携わるか否かに関係なく、簿記2級を持っていることは幅広く評価されます。
ちなみに簿記1級は「公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門」と言われている通り、非常に難度の高い試験です。
公認会計士や税理士を既に志している方、簿記2級を取得してもっと先を目指したくなった方は、是非とも挑戦してみて下さい。
経理周辺業務に携わらない人にとっては正直そこまでは不要だと思いますが、携わる人にとっては間違いなくプラスになります。
特に経理に携わる人にとって簿記2級は必要最低限
現在経理に携わっているもしくは今後携わる予定がある方の中には、簿記2級が必要という認識を既にお持ちの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
実際に財務経理に携わっており、経理マネジャーの立場である私の感覚としては簿記2級は最低限持っていてほしい知識です。
参考
私自身現在の職場で中途採用を実施した経験があります。
特に中途採用に当たっては即戦力が重視されることが非常に多いです。
即戦力という点では、実務経験の豊富さが大きなポイントになります。
ただ、実務経験を重視するとは言いながらも、資格欄に簿記2級に匹敵するものが記載されていないと、少し疑問を抱いてしまうというのが本音です。
実際に簿記2級を応募条件としている企業は多く見受けられます。
多くの応募があった場合、限られた時間の中で面接を実施するためにどうしても書類の段階でお断りすることになる場面はよくあります。
そのような時に、簿記2級が判断基準として重視されることが多いというのは念頭に置いて頂きたいところです。
新卒採用においては間違いなく差別化になります。
学生の方も簿記に興味を持っているのなら、是非2級を取得しましょう。
簿記3級は通過点に過ぎない
目指すべきは簿記2級と言いました。
簿記2級を一つのゴールとする以上、簿記3級に合格する必要はありません。
もちろん簿記3級を取得する意味はあります。
・ 学習の進捗を確認することができる
・ 簿記3級をもっていると言える
・ 合格することで安心感を得られる
簿記2級を目標においた上で、簿記3級を受ける場合には簿記3級を受けることの意味をご自身の中で改めて整理しておくことが重要です。
あくまでも通過点だという意識をもつことが大切です。
ポイント
合格か不合格かというのももちろん大事ですし気になるポイントかと思いますが、「何点だったのか」「何ができて何ができなかったのか」を明確にして簿記2級に向けた学習につなげていくことが非常に重要です。
参考
公式サイトの出題区分表をチェックしてみて下さい。
商業簿記について簿記2級の試験範囲は簿記3級+αです。
言うまでもなく、簿記2級に合格するに当たって簿記3級の知識は必須です。
さらに言うと、簿記2級を受ける頃には簿記3級に満点合格できるくらいの知識と自信が欲しいところです。
いきなり簿記2級でも十分合格できる
簿記3級に合格していないのに、いきなり簿記2級に合格するなんて本当にできるのか?
できます!
私の周囲には公認会計士や税理士の友人がたくさんいます。
その中には最初から簿記2級を受けたという人が多くいます。
そしてしっかり合格し、その後のステップに進んでいっています。
公認会計士や税理士なのだから当然では?
自分も含めた多くの人にとって、勉強を始めた当初はもちろん簿記の知識は皆無です。
全くの初学者からでも問題なく2級にストレートにいけるのです。
参考
私の妻は商業系の学校を出たわけでも、特段計算が得意だったわけでもなく、さらには一度簿記3級に落ちた経験がありました。
直接業務に関係するわけでもないので、その後全く簿記に触れていませんでしたが、私が「簿記3級じゃなくて簿記2級を取っちゃおうよ」と言ったことをきっかけに「何言っているの」と言いながら簿記3級の勉強を再開しました。
その後コツコツと勉強を進めていき、簿記2級に一発で合格しました。
振り返ってみると仕事をしながら市販のテキストのみで半年もかからず合格していました。
目標は高く設定しましょう!
ポイント
「何を言っているんだこいつ」と思われたかもしれません。
私は今まで中学受験から公認会計士試験まで色々な試験を受けてきました。
不合格も多々経験してきました。
過去の経験から感じたことがあります。
ただ「合格」を目指した時より、「●●点以上取って合格する」「1位を取る」ことを真剣に目指した時の方が、圧倒的に精神的余裕があるし、実際に良い結果を残すことができたということです。
これから勉強を始める人がまずやるべきこと
ポイント
- 簿記3級のテキストを購入して学習を始める
- 何月の試験を受けるか決める
各級の取得に必要な学習時間は一般的に
簿記3級・・・100~150時間
簿記2級・・・250~350時間
簿記1級・・・500~700時間
と言われています。
初学者から簿記2級を目指す場合、350~500時間です。
見てわかる通り、標準的と言いながらかなり幅があります。
独学or資格教室でも違いがありますし、人によって得意不得意がどうしてもあります。
まずは簿記3級のテキストを購入して読書感覚で読み始めてみて下さい。
その時の感触を踏まえて、
日常的にどれくらい時間を取れるかを考えながら、何月開催回の試験を目標とするのか決めていきましょう。
申込期間は試験日の約2ヶ月~1ヶ月半前頃となっております。
うっかり申込忘れがないように気を付けましょう。
「簿記の学習は、独学が良いのか?資格教室等に登録するのが良いのか?」という疑問は多くあるところだと思うので、別記事にまとめたいと思います。
さあ、始めましょう!
簿記何級を受けるべきかという問いに対して、
簿記2級にフォーカスして話を進めてきました。
簿記2級が簡単な試験ではないことは重々承知しております。
かと言って、何年もかかるような大変な試験でもありません。
どのような立場の人であっても役に立つ知識ですし、
ビジネスで間違いなく評価されるスキルになります。
今後のキャリアアップのために早速始めましょう!
最後までお付き合いありがとうございました。